Q4
運転者が悪質な違反で事故を起こすと、車の使用制限処分が科されると聞いたのですが。
A
車の使用制限が行われるケースとしては、大きく分けて次の4つあります。
①下命・容認に係る自動車の使用制限
運転者が下記の違反行為や交通事故を起こし、使用者等が下命・容認の禁止義務を守っていなかったときは、運転者、安全運転管理者が処罰されたり、使用者も両罰規定により処罰されます。
また、違反行為に使用された自動車には使用制限処分が行われます(法第75条第2項、道路交通法施行令(以下「令」という)第26条第1号・第2号)(表1,表2)。
①無免許運転(免停中の運転含む)
②最高速度違反運転
③酒気帯び運転(酒酔い運転含む)
④過労運転・麻薬等運転
⑤大型自動車等無資格運転
⑥積載制限違反運転
⑦車両の放置駐車(運転代行業の場合は駐停車違反行為)
表1 6か月以内の使用制限(令第26条の6第1号)
使用者等の違反行為 | 運転者の違反行為 |
酒酔い運転の下命・容認 | 酒酔い運転 |
麻薬等運転の下命・容認 | 麻薬等運転 |
無免許運転の下命・容認 | 無免許運転 |
酒気帯び運転の下命・容認 | 酒酔い運転又は酒気帯び運転 |
過労運転の下命・容認 | 過労運転 |
無資格運転の下命・容認 | 無資格運転 |
表2 3か月以内の使用制限(令26条の6第2号)
(下記の事情に該当し、なおかつ使用者等、運転者に違反があった際に使用制限が課されます)
使用者等の違反行為 |
運転者の違反 行為 |
事情(下記の1つに該当するとき) |
最高速度違反の 下命・容認 |
最高速度違反 |
1.使用者が過去1年以内に使用制限の命令を受けたことがあるとき 2.使用者等が過去1年以内に、酒酔い・酒気帯び運転、無免許・無資格運転、過労・麻薬等運転の下命・容認の違反をしたとき、又は過去1年以内に2回以上、最高速度違反、積載制限違反、放置駐車の下命・容認の違反をした者であるとき 3.運転者がその違反行為をし、よって人身事故を起こしたとき |
積載制限違反の 下命・容認 |
積載制限違反 | |
放置駐車の下命・容認(※) | 放置駐車違反 |
(※)自動車運転代行業者にあっては、「放置駐車」を「駐停車違反行為」と読み替える。
②指示後の違反行為に係る使用制限
前記のような違反行為を下命・容認しなくても、運転者が、①最高速度違反運転、②過労運転、③積載制限違反運転(過積載)をした場合、使用者がこれらの違反を防止するために適切な運行管理をしていないと認められたときは、公安委員会は改善措置をとるように指示を出すことができます(法第22条の2、第58条の4、第66条の2等)。
指示を受けた後、その自動車が、1年以内に同様の違反行為を繰り返した場合は、違反の前歴や自動車の種類に応じて自動車の運転が禁止されます(法第75条の2第1項)(表3、表4)。
表3 処分の基準点数(令第26条の7)
前歴の回数(※) |
なし |
1回 | 2回以上 |
点数 |
6点 |
4点 | 2点 |
表4 処分期間(令第26条の7)
自動車の種類 |
期間 |
大型自動車、中型自動車、大型特殊自動車、又は重被牽引車 |
3月 |
普通自動車 |
2月 |
大型自動二輪車、普通自動二輪車又は小型特殊自動車 | 1月 |